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清柳橋架橋プロジェクト

工事の過程を順に追いながらプロジェクトを紹介します

​プロジェクト概要

本工事は、東京都清瀬市と埼玉県所沢市を結ぶ清柳橋の新設架橋工事です。下部工事、護岸工事、上部工事、道路舗装工事まで一貫して施工を行いました。

河川を跨ぐ工事であったため、施工時期や水位変動への対応、また限られた作業ヤード内での重機配置・工程管理には特に苦労しましたが、各工程ごとに綿密な施工計画と事前調整を行い、事故・トラブルなく完了に至りました。

 

下部工では高精度な基礎施工により耐震性を高め、護岸工では自然環境との調和に配慮しました。上部工では品質管理に重点を置き、溶接・接合部検査などを徹底することで高い構造美と耐久性を実現。

 

最終的には、当社の高い施工技術とチーム力により、地域の新たなランドマークとなる橋梁を高品質で完成させることができました。

①下部工事

いい橋は土台から。

橋を支える「下部工事」は、橋脚や橋台、基礎などを築く重要な工程です。地盤の状況を綿密に調査し、その場所に最適な構造と工法を選定します。

地中深くに杭を打ち込み橋全体を支え、長年の風雨や交通荷重または地震に耐えうる強固な基礎を築くことで、橋全体の安全性と耐久性が確保されます。

 

また、施工時には周囲の環境や交通への影響にも細心の注意を払い、効率と安全を両立させる技術と経験が求められます。見えない部分だからこそ、確かな品質が問われる仕事です。

②護岸工事

橋梁の下部工における護岸は河川の流れや浸食から橋台、基礎などを保護し地盤の安定を維持し、橋梁の基礎が沈下したり、崩壊するのを防ぎます。

                               今回行った護岸工法はコンクリートブロックを用いたり、石積み等を行う耐久性と施工性に優れた代表的な工法です。高水にも耐える安定した仕上がりが特徴で、長期的な維持管理も比較的容易でもあります。   

工事を行うに当たっては安全対策を徹底するとともに、周辺住民への工事に対する情報提供や協議会活動を通じて地域との連携を図りました。

見えない部分で進化し続ける確かな技術と環境配慮が未来の安心できる川辺を支えるのです。              

③岩手仮組検査

架橋を施工するために、橋桁の製作を行っている岩手県にて鋼材の仮組検査を行いました。これは、実際の現場で橋桁の架設を行う前に、製作した鋼部材が図面通りに正確に組み上がるか、寸法や精度に問題がないかを事前に確認する重要な工程です。現地から離れた場所での検査ということもあり、実際の施工時と同様の橋桁の組立て順序及び組立て時間や安全に組立てられるかなど本番同様の工程を岩手の工場で行いました。

 

実際に橋桁を現地で組立てる際の橋桁の長距離輸送や資材・機材の運搬、日程調整などの打合せやシュミレーションには多くの労力を要しました。

また、検査当日は多部門の関係者が集まり、気温や天候といった環境の変化にも対応しながら、緊張感のある作業が続きました。

​しかし、実物大での仮組を行うことで、細かな干渉や組立順序における課題を事前に把握できたことは非常に大きな成果でした。現場での手戻りや安全リスクを最小限に抑えることができ、工程の安定化にもつながります。また、製作精度の高さや図面の整合性を再確認することで、発注者や施工者、製作会社との信頼関係を深める貴重な機会にもなりました。

 

今回の仮組検査は、見えない努力と準備がいかに本番の成功につながるかを実感する経験となりました。「いい橋は土台から」、その土台をしっかりと築くための第一歩を、確かな目で確認できたことは大きな意義があります。

④上部工事

上部工事とは、橋脚や橋台の上に構築される橋桁や床版、伸縮装置、防護柵といった構造物全体を指します。交通を支える実際の荷重が加わる部分であり、設計通りの強度・精度・耐久性を確保することが求められます。

施工にあたっては、桁の架設方法や現場条件を十分に検討し、適切な手順で行います。現場では、高所作業や重量物の取り扱いが多く、安全管理の徹底と職人同士の連携が欠かせません。天候の影響も受けやすいため、工程管理も慎重に行い、無理のないスケジュールと臨機応変な対応力が試されます。

 

また、上部工は橋の“顔”とも言える部分であり、完成後に人々の目に触れる構造体でもあります。仕上げの精度や塗装の品質にも細心の注意を払います。部材の製作段階から仮組検査や溶接検査などを行い、現場での精度に繋がるよう、各工程に責任とこだわりを持って臨みました。

 

上部工事は、橋としての機能を最終的に形にする工程であり、長期にわたる安全と快適な利用を支える要です。日々の現場での丁寧な作業が、地域の暮らしや物流を支えるインフラとなる。その重みを実感しながら、一つひとつの工程を確実に積み上げています。

⑤道路舗装工事

橋面の道路舗装を行いました。舗装工事は見た目以上に繊細で、上部構造との取り合いや勾配調整、排水性の確保など、さまざまな技術が求められる作業です。特に橋面はコンクリート床版の上にアスファルトを敷設するため、一般道路とは異なる下地処理や接着材の施工が必要で、気温や湿度にも影響されやすい工程でした。

また、舗装厚の均一性や段差のない仕上がりを実現するためには、ミリ単位での調整が求められ、重機と職人の息の合った作業が不可欠です。天候の変化にも対応しながら、工程管理や安全確保にも大きな労力を要しました。

舗装が完了し、滑らかな走行面が姿を現したときの達成感は大きく、「ついに橋が完成した」と実感できる瞬間でもありました。交通の安全と快適性を守るための最後の仕上げとして、舗装工事の重要性を改めて感じる現場となりました。

⑥清柳橋完成

橋が完成した瞬間、それまでの苦労や緊張が一気にほどけ、現場にいた全員の顔に自然と笑顔がこぼれました。一つひとつの工程を積み重ね、幾度もの打合せや確認作業、天候や地形との闘いを乗り越えてきたからこそ、その達成感は言葉では言い表せないほど大きなものでした。

基礎を築き、橋脚を立ち上げ、上部工を架設し、舗装を仕上げ、ようやく橋はその全体像を現しました。単なる構造物ではなく、地域の人々の生活を支え、未来へとつながる道をつくったという実感が胸に深く刻まれました。

 

ときに困難もありましたが、仲間との連携や支えがあったからこそ前に進むことができました。そして何より、完成した橋を渡る第一歩の重みと、その橋の向こうに広がる日常の風景が、この仕事の意義を改めて教えてくれました。

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